10月15日(土)に、夜の国立科学博物館から中継をした「夏の特別講座」以来の、第3回講義を実施しました!!

今回のテーマは・・・、「より良い世界を作るために今からできる8つのこと」で、株式会社ikuraの代表取締役・中澤英子先生にご登壇頂きました。

講義の前には、いつものようにHRからスタート!
実行委員の園部さんから、ニュースの話をみんなで楽しくシェアをしながら学んでいきました。

HR終了後は、講義の開始!最初は中澤先生の自己紹介からです。
中澤先生は、高校生までを香港とシンガポールで過ごし、大学の卒業後はSONYに入社し、営業やマーケティングの仕事を担当されたそうです。SONYでは、海外で製品を売るためにはどうすればいいのかを考える仕事を10年以上行い、会社から「もっと学びたい人はいないか」と声がかかって、先生はそれを機に、米国・スタンフォード大学へ入学されました。スタンフォード大学は、ビジネススクールではトップクラスで、イノベーションやソフトスキルを学ぶ上でいい学校だと言われています。

そして卒業後はSONYに戻り、ニューヨークで働くこととなった中澤先生は、スタンフォード大学に在籍していた際、よく授業でこのようなことを言われていたそうです。「もしいきなり自分がトラックに引かれてしまってもう死にそうだとする。そしたら自分の今までを振り返って、自分のしたかったことができましたか?自分の生きた人生に後悔はないですか?」と。それを軸に人生を考えた結果、自分でゼロからやってみたいという気持ちがあり、起業を決意したそうです。

講義ではまず、インパクトビジネスについて学びました、インパクトビジネスとは、社会の問題をビジネスとして解決しているサービスのことで、社会的利益と経済的利益の両方を重視した会社のことを指します。例として、実際に中澤先生が社外取締役を行なっている株式会社TBMのお話に!TBM社では、石灰石を原料にプラスチックや紙の代替製品を成形しリサイクル、SDGsに貢献しています。このように社会的な問題をビジネスとして解決していく会社をインパクトビジネスと言います。

では、こういったインパクトビジネスはどうやって生まれるのでしょうか。そのキーとなるのが「デザイン思考」です。デザイン思考とは、スタンフォード大学のd.schoolで生まれた「イノベーション」を行うためのステップのことで、特に問題や課題を解決するための考え方です。デザイン思考は実は、シンプルな5つのステップからなります。

ステップ1は「共感する」ことです。共感するとは問題を持っている人、困っている人の身になって考えること。実際に、観察し、話を聞き、自分も同じ体験をしてみるという、人にフォーカスすることが重要となります。

2つめは、「定義する」ことです。何の問題を解決しようとしているのかをクリアにすることが重要になります。

3つ目は、「アイディアを出す」ことです。たくさんのアイディアを出し、整理して良いものを選び抜くことが重要で、良いアイディアが生まれるためには、分と全く違う考えを持つ人と一緒にアイディアを出すことで、自分にはなかった発想から良いアイディアのヒントがもらえます。

4つ目は、「プロトタイプを作る」ことです。プロトタイプとは簡単な模型のことで、人に商品を売り出すためのテストをするために、すぐ簡単に作れるものです。プロトタイプを作成し、言葉だけでは伝わりきらない部分をも説明して見せることが効果的です。

そして最後の5つ目は、「テストをする」ことです。実際に4つ目の工程で作成したプロトタイプを見せながら、定義した問題を持つ人に見せて観察することが大事だそうで、まずは挑戦して、実験を繰り返すことが重要になります。

これらの5つのステップを繰り返すことでより良いものを作れるようになることを学んだところで、デザイン思考を使ったオンラインワークショップを実施!

先生から「最近困っていること、嫌だと思うことは何ですか?それはなんで?」と学生に問いかけ、この「なんで」の部分に焦点を当てることで、何の問題を解決しようとしているのかをクリアにしていく事ができるということを実践で試しました。

この問題の定義をきちんと行うことでアイデアをたくさん出すことができます。そして、たくさん出たアイデアの中から、より良いもののプロトタイプを作ります。現地の学生だけでなく、オンラインで参加していた学生もコメント機能を利用しながら、自身の考えを共有する様子が多くみられました。また、中澤先生はこのワークショップを基に生活の中でデザイン思考を行ってほしいとメッセージを送ってくれました。本当に重要なことですよね!

他にも、デザイン思考を通じて学ぶ「今日からできる6つの事」や「ソフトスキル」についての学びも!ちなみに「ソフトスキル」とは、簡単にははかることのできない力のことで、諦めない力やリーダーシップなどの目に見えない力はこれにあたります。そしてソフトスキルの中でも、成長思考と自分の事を知る(フィードバック)がとても重要と教わりました。

成長思考は、固定思考の反対でチャレンジを楽しみ、努力を積み重ねスキルを上達していくことができる事です。成長思考をつけるには、自分に対する言葉を少し変えてみることが重要となります。例えば、「自分には向いていないみたい」を「やり方をかえてみよう」と考えるだけで楽しんで成長ができます。自分の事を知るには、対人能力が鍵とのこと。(対人能力は、人と良い関係をつくる力で、物事を成し遂げるにはとても重要な力)

今までの社会のように、決まっている正解がある時代ではなくなった以上、自分の頭で考えて、解決することができるような思考や行動力が、今後はとても重要になっていきます。どんな時代になっても生きていける底力をつけないといけないと思う学びでしたね。

今回の第3回講義は、アントレプレナーシップについての学びでした!新たな学びが得られる貴重な機会となったとおもいます。デザイン思考や成長思考など、これから生きていく上で重要な知識をワークショップを通しながら楽しく学ぶことができ、学生のみなさんが大きく成長できる1日だったことでしょう。中澤先生、素敵な講義をありがとうございました。

第4回講義は、11月5日(土)です。
筑波大学・綾部 早穂先生による、「“におい”の正体(しょうたい)って何だ!?~嗅覚(きゅうかく)について学ぼう~」です。お楽しみに♪