11月13日に開催された「第4回講義」は、基礎生物研究所・森田慎一先生による「カブトムシの秘密を徹底調査!~カブトムシの角がどのようにして作られるのか!?~」でした。

講義の前には、いつものようにHRから開始です!学生部の根本君による「ニュースを見てますか?」からスタート!噴火による軽石の問題や牙のない像が増えている話などを解説しながら、社会の学びを行いました。日常から、ニュースの内容を読み解く力を育んでほしいですね!

HRが終了すると、いよいよ森田先生の講義です!会場にはカブトムシの標本や生きているカブトムシが登場し、ボルテージは最初からMAXになっていました!!

講義の始めは、カブトムシの性質についてからスタート!
日本のカブトムシのオスには頭角と胸角の2つの角があり、3つの特徴を持っているとのこと。1つ目は「武器形質」といい戦いに用います。2つ目は「性的二型形質」といい、オスには長い角があるがメスにはないようにオスとメスで違いが生まれることを指します。3つ目は「進化的新奇形質」といい、進化するときに体が変化することです。森田先生は3つ目の特徴である「進化的新奇形質」について研究されているとのことです。

森田先生の研究テーマを学んだ後は、カブトムシの分類についてお話していただきました。ある決まりによって似た者同士のグループに分けることで、それによってグループ間の関係性を理解することができます。カブトムシは節足動物に分類されているのですが、さらに細かいところを見るとカブトムシ族‐カブトムシ属‐カブトムシととても多く分類わけされています。上記のものは分類の一部なのですが、一括りにカブトムシと言っても生物学上とても細かく分類わけされていて、学生たちからは、こんなに複雑に分かれているの?!と驚嘆の声が出ていました。

カブトムシについて学生の知見が深まってきたところで、本講義のタイトルにもなっている、カブトムシの角についてのお話に移ります!そもそもカブトムシになぜ角があるのでしょうか??みなさんはご存じでしょうか??

角の存在している理由は、主に餌場の確保、メスの取り合いで他のオスのカブトムシと争うためにあります。角と体の大きさは相関関係にあり、角は体が大きければ長く、長いもので3.5cmもあるそうです。生息地で比較すると、南の地域に生息するものよりも北の地域に生息するカブトムシのほうが角が長い傾向がみられるとのこと。これは、北の地域ではエサの獲得が難しいことが関係しているとお話されていました。また、驚くことにカブトムシは土を食べているようです。(みなさんは知っていましたか??)この土には朽ちた木が混じっており、木の成分と木を腐らせる菌を食べています。

前半講義のラストはカブトムシの体の秘密についてです。カブトムシの体は頭・胸・腹に分かれており、幼虫では腹が大部分を占めているのですが、成虫になると胸の部分が大きくなります。幼虫の腹の部分には肺脈管があり、これは人間でいう心臓の役割を果たしている器官になります。気門と呼ばれる、腹にある呼吸をする場所は、成虫、幼虫でも見られ腹の両脇に複数あります。また、カブトムシは0.18秒で翅を開くことができ、1秒で約2.3m飛ぶことができるとのこと。一見秒速2.3mは早いように感じますが「50m飛ぶのに20秒以上かかるんだよ」と笑みを交えながら、翅を開くのは速くても飛ぶことに関してはそこまで速くないと教えていただきました。自分の頭で考え直す力はとても大切です!

後半講義ではカブトムシの角の秘密について学びました。
「カブトムシの角はいつ、どのようにできるのか」です。人の目から見て、カブトムシの角があるかどうかがわかるのは蛹の段階ですが、角のもとなる角原基と呼ばれるものができるのは、蛹になる前の前蛹という段階になります。カブトムシの幼虫が蛹になるといきなり角が出てきますが、幼虫の小さな頭には角のような大きな構造のものは入らないので、角の10分の1になるように角原基を折りたたんでいるそうです。カブトムシが前蛹から蛹になるときに頭部に液を集中させることで折りたたまれた状態から我々がイメージする角ができます。また、角原基がどのように作られているか調べる際に、前蛹の状態から蛹になる時に、幼虫が土の中にいるため判断が難しかったのですが、研究により蛹室と呼ばれる部屋で、前蛹から蛹になるときに頭を振ることがわかりました。この幼虫が頭を振り始めた時は、もう戻ることができない蛹になるための前蛹のステージです。

カブトムシの角の裏側には肉眼では見ることのできない毛が生えていて、角の先端に行くにつれて量が多くなっています。角や体の小さいカブトムシは、戦いで角が折れたり、時に死んでしまうため、角や体の大きな相手との戦いを避けるため、この角に生えている毛を使い相手の大きさを測っていると言われています。カブトムシは外骨格などで相手の大きさの判断はできないのですが、角に生えている感覚毛で相手の体のサイズなどを判断して、けがをするリスクを避けていると考えられています。我々の目では見えないほど微細な毛で相手の大きさを判断して、戦いのリスクを減らしていくカブトムシはとても賢いですね!

講義の締めくくりとして森田先生は、基礎研究の重要さについてお話してくださいました。よく「カブトムシの研究をして何になるの?」と聞かれることがあるそうですが、基礎研究は様々なことに役立つことがあると仰っていました。例えば、今回の主役であるカブトムシの幼虫は抗菌性ペプチドと呼ばれるアミノ酸を持っています。このアミノ酸は人間のがんを抑制するとして近年研究されており、カブトムシから医療に応用しようという動きがあるそうです。(日本では研究費が減少していますから、基礎研究の大切さを考えると、しっかりと予算を取ってほしいと感じました。)

また、バイオミメティクスと呼ばれる生物の構造を工業に応用することで既存のものよりも、より効率の良い頑丈な素材を作れるのではないかとされているものです。この分野でもカブトムシの前翅のハニカム構造を耐久構造に応用しようとされています。

基礎研究は「なぜ?」「なんで?」「どうやって?」を日々考える学問だと仰っていました。先生は続けて考える力が重要だと話されていました。この考える力を身に付けるために「疑問を見つけよう」「まずは一人で考えて、調べてみよう」「自分が学んだことを人に伝えよう」「一緒に考えたり、できることならやってみよう」この4つのことをやってみようとお話してくださいました。学生たちには、日常生活の中にあるふとした疑問を大切にして、森田先生が話されていたように考える力を身に付けて将来の成長のタネにしてもらいたいです。

森田先生、ありがとうございました!!

今年の講義は、第4回講義で終了です。次回の講義は、2022年2月5日となります。
株式会社TBSテレビ・前TBS北京支局長・井上 波先生による「海外で活やくする報道記者が見る、世界の人々のくらし~近くて遠い国『北朝鮮』取材記~」です。普段では絶対に知ることはできない内容ですから、楽しみに待っていてくださいね♪

一年間、ありがとうございました!
来年はさらに素晴らしい一年になるようにしたいですね!

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スタッフ一同