7月14日(土)に常磐大学にて「第2回講義」を実施しました。30度を超える暑い夏日でしたが、講義時間の大分前からたくさんの学生たちが登校してくれ、会場は熱気にあふれていました。

さて、第2回講義はJAMSTEC(海洋研究開発機構)の大西琢磨先生による「「しんかい6500」で知る深海の世界」です。大西先生は、しんかい6500の現役パイロットで、潜水回数も80回を超える経験をお持ちになっております。

講義は、「しんかい6500」と「深海」に関する定義や情報から学習を開始!
深海とは、海面下から200メートル以上の深さであり、日光が届かない真っ暗闇の電波も届かないエリアで、水深6500メートルだと680気圧がかかるため、宇宙より行くのが難しいともいわれています。

1989年に「しんかい2000」の後継機として作られた「しんかい6500」は、その目的として生物・地質・地震・資源などの調査をしており、2011年3・11の東日本大震災後の地底や「メタンハイドレート」「マンガンノジュール」などの資源などの実際の映像を見ることができ、自然の凄さを見ることが出来ました。

特に、日本は資源が少ない国と言われていますが、地下資源にたくさんの燃料が眠っている事実とそれをどのように地上まで運ぶかの技術的な問題、化石燃料を使用することによる環境問題など、たくさんの問題が複雑に絡み合っているのだということを理解したはずです。

講義の中盤には、船内から行うアーム操作「マスターコントローラ」の使い方を学習。限られた時間で、効率よく作業を行うために、日々訓練を実施しているそうです。実際の訓練の様子を見たのですが、ベテランと若手の技術力の差は一目瞭然で、やはり長い期間の訓練の積み重ねが重要であることを再認識できました!

また、講義では「しんかい6500」の材質、重さ、沈む・浮上するためのメカニズム、船内の様子、船内から見た海底など、普段では見ることができない動画や写真を拝見することが出来ました。特に「船体に使用されている素材は何か?」の質問に大半の学生が「チタン合金」と答えていましたが、軽量化や腐食しないことから「FRP(強化プラスチック)」が答えだと分かると、大きなリアクション!プラスチックで水圧に耐えられる強度が得られることに驚きました。

また、浮上するためには、「シンタクティックフォーム」と呼ばれる浮力材が使われており、素材として、直径0.1mm以下のガラス球をエポキシ樹脂で固めたものを使用することで、有事の際でも必ず浮くことが出来ることも学びました。しかも金額は125億円で作っているとのこと!(金額だけを見ると高いですが)さすが日本の先端技術の結晶です!

その他にも、船内でトイレに行きたくなった時の対処法や一度の潜水での活動時間、ユメナマコなどを捕まえるための「スラープガン」の実際の映像、パイロット以外の様々な役割など、本当に魅力的な話をたくさん聞くことが出来ました。

講義の最後には、大西先生の今後の夢について語ってくれたのですが、現在計画中の「しんかい12000」の構想には大興奮!「しんかい6500」は、1989年から2012年まで世界一の記録を保持していましたが、現在の世界一は中国の「蛟竜」による7020メートルとなり、再び世界一の潜水艦のなるべく、是非完成してほしいと思いました。

そして最後の最後に、夢を叶えるために最も大切なことは「好奇心」と「チームワーク」であることであることを伝えて講義が終了です。大西先生、ありがとうございました!

※次回の第3回講義は10月13日(土)に、智学館中等教育学校にて実施します。お楽しみに♪