【第5期第2回講義特別編!】
「「しんかい6500」で知る深海の世界」
JAMSTEC 海洋研究開発機構「しんかい6500」パイロット 大西琢磨先生

7月14日の第5期 第2回講義にてご登壇いただいた、JAMSTEC 海洋研究開発機構「しんかい6500」パイロットの大西琢磨先生より、皆さんの質問に対する回答が届きました!
感想を含めいろいろな質問をいただいた中、余りにも数が多いため、先生だからこそお答えいただける専門的な質問にまとめてお願いをしたのですが、それらの質問はもちろん、学生のみなさん1人ひとりの質問にも、全て個別にお答えいただいています。
大変お忙しい中、本当にありがたいことですね。

大西先生の追加の特別講義、ぜひ読んで学んでみてください!


【JAMSTEC 海洋研究開発機構「しんかい6500」パイロット 大西琢磨先生がみんなの質問に答えます!】

●質問1.「しんかい6500」が多く潜水している海域はどこですか?

世界の深海で調査潜航を行っていますが、やはり国内が多いです。特に日本海溝、伊豆・小笠原海溝、沖縄トラフが多いです。日本海溝ではたびたび大きな地震が起きているので、関連して調査が行われます。最も深い場所は8000mを超えます。伊豆・小笠原海溝は新しいプレートが出来る場所なので、大陸の成り立ちの研究がよく行われます。沖縄トラフは熱水噴出孔に関連した調査が多いです。


●質問2.なぜ「しんかい6500」はなぜ白いのですか?

深海から海面に浮上してきたときに、いち早く見つけられるためです。海が荒れていて波が高い時でも比較的見つけやすくなります。また、通常は日が沈む前に浮上してきますが、トラブルがあった場合は、夜間に浮上することも十分考えられます。その場合でもボディが白いと見つけやすくなります。


●質問3.深海生物が特殊な形状や色をしているわけはなんですか?

陸上と違って非常に特殊で過酷な環境なので、上手くその環境に適応するために、変わった形や色をしています。ただ、まだまだ生態が分かっていない深海生物がほとんどです。


●質問4.現在確認されている深海生物はどれくらいいますか?
また、大西先生が見つけてみたい深海生物はいますか?

深海域・浅海域を合わせると3万3千種を超えるといわれています。実は日本近海は、世界の中でもトップクラスの生物多様性を持ちます。私たちの国は海洋生物に非常に恵まれているのです。
個人的に見つけてみたい深海生物は、リュウグウノツカイです。子どものころから図鑑でよく見ていて、ずっと気になっていました。ライトを消したらもしかしたら近くに来るのではないかと感じることがあります。近縁種のサケガシラは見たことがあります。


●質問5.深海でダイオウイカなどの巨大深海生物に出会ったことはありますか?

ダイオウイカにはまだ会ったことがありません。ダイオウイカは深海の中層にいると考えられていますが、「しんかい6500」はライトを点けずに一気に海底まで下降するので出会えるチャンスは非常に少ないです。巨大生物とまでは言えませんが、サメやエイといった大型魚類には何度か遭遇したことがあります。


●質問6.地球でいちばん深いマリアナ海溝の最深部というのはどうなっているのでしょうか。

「しんかい6500」では行けないので、実際にみたことはありませんが、無人探査機の映像だと、一面泥の平坦な海底でした。この世界最深部でもナマコ類やヨコエビといった生物が確認されています。


●質問7.「深海に行くことは宇宙に行くことよりも難しい」とお話しされていましたが、潜水時は不安になったりしないのですか?
メンタルを保つ方法、そして、無事に帰還された時はどんな気持ちになるか教えてください。

飛行機のパイロットと違って、「しんかい6500」のパイロットは、自ら整備点検を毎日行っています。ですから機械のことは誰よりもわかっています。最近はこの機械がちょっと調子悪いとか、こうするとすぐ直るとか。時には人間に思えてきて、今日は機嫌悪いとか、またスネてるとか・・・。ちょっとした家族のようです。
また「しんかい6500」の勉強をすればするほど「しんかい6500」がどれだけ安全な乗り物かということが理解できます。そのため全く不安はありません。逆に一緒に乗る研究者には不安な気持ちを抱かせないように、潜水船の安全性を伝えたり、気がまぎれるような話をしたり、たくさんコミュニケーションするよう心がけています。無事に帰還したときは、何事にも代えがたい高揚感と達成感で、この仕事をしていて本当に良かったと感じます。


●質問8.パイロットになるための条件にはどのようなものがあるでしょうか?

「しんかい6500」は意外かもしれませんが法律上、小型船舶に登録されています。ですから法律上は「小型船舶1級免許」があれば搭乗することができます。その後、「しんかい6500」のことや、深海機器などの知識を勉強して、司令(しんかいチームで一番偉い人)の許可が得られればパイロットになれます。一番大事なのは、体が健康であること、それから「しんかい6500」への情熱があることです。


●質問9.JAMSECに入るには、また、しんかい6500のパイロットになるにはどうすればよいですか?

現在の制度(2004年以降)では、JAMSTECに入っても「しんかい6500」チームに行くことができなくなりました。運航委託されている日本海洋事業株式会社に入社するしか方法がありません。ただ、JAMSTECに入れば日本海洋事業株式会社に出向できるチャンスがあります。また、JAMSTECも、日本海洋事業株式会社も、学生さん向けに現場体験ができるインターンシップという制度があります。ここでチャンスをつかむ方法が近道です。


●質問10.先生が1番大切にしている仕事をする中での心がまえについて教えて下さい。

仕事の大きさに関わらず、何事も一生懸命取り組むこと。そうすると、信じられないビッグチャンスが巡ってくることがあります。



★回答はまだまだ続きます。学生のみなさんのそれぞれの質問にお答えいただいているのでものすごい数ですが、ぜひ最後までご覧ください。
大西先生、お忙しい中、本当にありがとうございました!

Q.「しんかい6500」で7000m以上もぐったらどうなりますか?
A.7000mだと動作が鈍くなる機械が多少出てくるかもしれませんが、ほとんど問題ないです(規定がなければ普通に行けます)。またコックピットは世界最深部でも大丈夫です。さすがにカメラやライトといった機械は圧力に負けて圧壊してしまうでしょう。
パイロットになるための条件にはどのようなものがあるでしょうか?

Q.熱水(3,400℃くらい)のところにいっても「深海6500」は溶けないんですか?
A.熱水が出ている噴出孔は数百度になりますが、周りの水温が非常に低いので、20~30cmも離れるとすぐに温度が低くなるので通常の作業では影響ありません。ただし、あちこちから熱水が出ている海域などでは、白のボディ(FRP製外皮)が焼けこげることがあります。のぞき窓やカメラには専用のガードを取り付けます。

Q.なんで「しんかい6500」はつぶれないの?
A.ボディの中に水を入れることによって、外の圧力と、「しんかい6500」内の圧力を一定にしています。これを均圧(きんあつ)といいます。コックピット(耐圧殻)や、水を入れることができない大事な機械は、頑丈なチタン合金製の球で覆っています。この球は深さ6500mでは全くつぶれません。

Q.なぜ,「しんかい6500」はプラスチックでできているのですか?
A.白色のボディは、消耗品と考えていて、定期的(ほぼ毎年)に交換しています。ですから、補修が容易であることが求められます。また軽量であることから繊維強化プラスチックを採用しています。軽量でないと、それ以上の数の浮力材が必要になり、船体がどんどん大きくなります。そうすると、細かくて、精度の高い深海調査が行えません。

Q.「しんかい6500」は直径何mですか?
A.内径2m、厚みが7.35mmです。

Q.浮きは,何こぐらい入っていますか。
A.正確に数えたことはありませんが、数百個あります。

Q.なんでコックピットは2mしかないんですか。
A.出来るだけ深く潜りたいためです。コックピットが小さければ小さいほど圧力には強くなります。

Q.スラープガンの他に,オペレーションに使う道具はどんなものがありますか。
A.熱水温度を計測する温度計、泥や堆積物を採取する柱状採泥器、深海生物をいきたまま一匹ずつ捕らえるゲートサンプラー、深海の環境を使って実験する現場培養装置、音波を使って周囲を映像化する音響カメラなど多数。数え切れません。

Q.これまでに「しんかい6500」に乗った人数はどれくらいいますか。
A.研究者、パイロット、建造スタッフ、全て含めると700人近くになると思います。

Q.いつか、「しんかい6500」に子どもものれるようになりますか?
A.現状の3人乗りだと難しいでしょう。新型「しんかい12000」が出来て、コックピットが二つ、5~6人乗りくらいになれば、子どもも十分乗れるでしょう。

Q.なぜ「しんかい6500」を横須賀から着水させるのですか?
A.「しんかい6500」は海面では航走することができません。海域まで連れて行ってくれる専用の母船が必要です。また、オペレーションに必要な特殊な装備品がいくつも搭載されています。
「よこすか」は「しんかい6500」のために作られた専用船。正式名称は「深海潜水調査船支援母船」です。

Q.「しんかい6500」は一年間に何回,潜るのですか?
A.その年によって違いますが、近年は40回程度です。

Q.パイロットって何歳になったら引退するんですか? また、「しんかい6500」が狭くて困ることはありますか?
A.定年はありません。自己申告と、司令(チームで一番偉い人)の判断によります。
コックピット内は狭いので態勢を替えることがなかなか難しいです。体重制限などはありませんが、小柄な人の方が向いているかもしれません。

Q.これから,深海での技術を進化させるために必要な事は何ですか?
A.技術的な土台は既にあると思っています。これからは深海への新しい発想、新しい見方、システムの新しい考え方、予想もしていなかったデザインなど、が必要になってくるのではないかと思っています。それには新しいくて若い、考えが必要だと思っています。

Q.「しんかい6500」の未来は自動で人がのれますか?
A.近い未来、自動で乗れる時代がいつかは来るでしょう。ただ、現時点ではまだまだ課題だらけです。自動の深海ロボット(自立型無人探査機)は、すでに世界で活躍中です。

Q.もし,「しんかい12000」が開発されるとなった時,研究で一番使用したいものはなんですか? 地震発生時の時にプレートが動くのを見たことはありますか?どうやって地面にぶつからないようにしているんですか?
A.「しんかい6500」で深海を調査中、もし地震が発生した時は、安全が確認されるまで海底からある程度距離(高度)をとらなければなりません。そのため、プレートの様子は見たことがありません。垂直スラスタを使うと、距離(高度)がとれます。

Q.「しんかい12000」ができた時は、その「しんかい12000」にはトイレがつくんですか?
A.今より調査時間が長くなると思うので、携帯トイレを使っている現状よりも、トイレが快適にしやすいような環境になると思います。

Q.どうして油漬けにすると,水圧に耐えることができるですか?また、深海を照らすのには何メートル必要なのですか?
A.ゴム製の薄い膜のようなものがついています(ブラダ)。この膜が収縮したり、膨張することで、圧力に耐えています(均圧装置)
「しんかい6500」の場合は投光器(ライト)を7灯点けても、10m程度しか見えません。調査はゆっくり観察しながら行いますので、10mもあれば支障はありません。

Q.もし,「しんかい12000」ができて,12000mいくには約何時間かかるんですか。
A.今のシステムだと4時間以上かかってしまいます。これでは現実的ではありませんので、早く海底に行くための新しいシステムが必要です。

Q.大西先生は、何かを「しんかい6500」にとりつけたいものはありますか。
A.「しんかい6500」の周囲全体が見えるようなカメラ。アラウンドビューモニターのようなもの。現在は前方しか見えないため。

Q.もし自分で新しい潜水船を作れたら、どのようなものを作りたいですか。
A.ジェット噴射のようなもので深海底めがけて一気に降りていくような潜水船。もちろん全球が見渡せる広い視野を持ったもの。

Q.先生は、「しんかい12000」に乗ったら、何がしてみたいですか?
A.地球上で一番深い場所にピンポイントで着底したい。

Q.「しんかい6500」に乗船中、もし3人の中で体調が悪くなった人がいたらどうしますか。
A.他の2人で協力しあって、まずは浮上措置をとります。医薬品などはコックピットにそろっています。

Q.「しんかい6500」は人工物に当たったらどうするのですか。
A.パイロットは人工物にはとても注意しているので、通常あたることはありません。

Q.潜水船に水がはいってきたことはあるんですか。
A.厳しいチェックを行っているので、歴史上一度もありません。

Q.もし、コックピットで火がでたら、どうやって消すんですか。
A.コックピット内に粉末の消火器があります。また、燃えるために必要な酸素の供給をとめます。3人は応急用のマスクがあるので通常の酸素放出を止めても大丈夫です。

Q.浮力装置が故障したらどうするんですか?
A.「しんかい6500」は全ての機械が故障した場合でも、必ず浮くように作られています。安全な乗り物です。

Q.今までにあったアクシデントの中で、一番危険だったのはどんな状態でしたか
A.「しんかい6500」では危険な状態になったことはありませんが、「しんかい2000」では、プロペラに漁具に絡まってしまって一時動けなくなったことがあったと聞いたことがあります。その時はパイロットの機転でなんとか回避できたようです。

Q.冬は日照時間が短いから、時間を減らすことがあるんですか?
A.日出時間内しか「しんかい6500」は潜れませんが、潜航時間を減らすほどの日照時間の影響を受けたことはまだありません。

Q.閉所恐怖症の人などはいないんですか?
A.閉所恐怖症の人は基本的には潜航はやめた方がいいでしょう。心配な方のために、潜る前に実際にコックピットに入ってもらってハッチを閉め、事前にテストを行うことがあります。

Q.潜水船に水が入ってこないのに、どうやって息をしているんですか?息は長く続かなければななりませんか?
A.コックピット内は深海6500mにいったとしても、常に1気圧です。地上と同じ環境です。
「しんかい6500」に乗るのに、息は特に気にしなくても大丈夫ですよ。私自身そんなに、息は持ちません。せいぜい1分~1分半くらいでしょうか

Q.潜水船にのっている間、お昼などはどうしているのですか?
A.軽食を持ち込んでいきますよ。サンドイッチかおにぎりです。お茶や、コーヒーも持っていきます。

Q.スラープガンで生物を強く吸って死んでしまったら、その死んでしまった生物はどうするんですか
A.生物が残念ながら死んでしまっても、貴重なサンプル資料になります。じっくり観察して、解析などが行われます。

Q.スラープガンではナマコ以外にもたくさんの魚をつかまえられるんですか。
A.大型の魚類でなければ、たくさん捕まえられます。小型魚類以外にも、カニやエビ、貝、イソギンチャク、植物などを採取できます。

Q.ボトルよりも多い数を持ち帰る時はどうするんですか?
A.必要以上に生物はサンプリングしません。あらかじめ計画されていた生物の種類と数がとれれば、大成功です。

Q.深海の生き物に襲われたりぶつかるなどした事はあるのですか。あったら大丈夫なんですか。
A.「しんかい6500」に影響を与えるほどの大きな生物にぶつかることはありません。「しんかい6500」にはライトがあったり、油圧ポンプが大きな音を出しているので、あまり近づいてこないのかもしれません。

Q.深海で何かを採るとき、生き物や石などのどちらが多いですか
A.その時潜航する研究者によってどちらかに分かれます。全体数を見ると、ちょうど半々くらいになるのかなと感じます。

Q.なぜ、生物は深海で生きられるのですか?(人間は6500mなんかいったらつぶれてしまうのに… )しかも生物に合金なんてないのに…。
A.浮袋を持たないエビやカニといった甲殻類や、ナマコ、ウニなどの棘皮動物は圧力にあまり影響をうけません。
そのほかにも生物はたくさんいますが、深海でも生きられるように独自の進化をしてきたのだと思っています。

Q.深海の魚のおかしな形やおもしろい行動をする深海の生き物を教えてください
A.泳ぐナマコには最初びっくりします。また、三脚のようなヒレをもつオオイトヒキイワシ(通称:三脚魚)もおかしな形ですね。

Q.オオエンコウガニの甲羅はどれほど頑丈なのですか?
A.「しんかい6500」でのサンプリング後は研究者に引き渡しました。甲羅の硬さはちょっと確認できませんでした。

Q.深海ザメの中でとても珍しいサメはどんなサメですか?予想はカグラザメです。
A.カグラザメ目は非常に珍しい部類に入ります。特にカグラザメ目の中でもラブカは未だ「しんかい6500」で見たことがありません。生きている化石と呼ばれています。

Q.場所によっては、マリンスノーがない所があると言っていましたが、マリンスノーがあったほうがいいでですか?それともないほうがいいのですか?
A.マリンスノーは深海生物のエサになりますので、生物とってはあった方がいいのだろうと思います。マリンスノーが多い海域の方が生物は圧倒的に多いです。一方、パイロットにとっては視界が悪くなりますので、ない方が海底の観察はしやすいです。

Q.マリンスノーが多く降るところではプランクトンが豊富で、降らないときはプランクトンが少ないということですか?
A.その通りです。日本近海では、陸上から栄養物がたくさん流れ込んできますのでプランクトン、マリンスノーが多くなります。

Q.深海にはチムニーの数はどれくらいあるんですか?
A.深海にはとても多くのチムニーが存在しています。まだまだ未調査の海域ばかりですので、どれくらいあるかは分かりません。

Q.熱水噴出孔から出る熱水はどうやって温かくなるんですか
A.地中奥深くのマグマが海水を熱しています。日本国内で見られる温泉も同じくマグマや地熱が熱しています。

Q.深海などの深さの差はどうして生まれるのですか?
A.プレートの動きや、火山の噴火状況、隆起や、浸食など要因は様々です。プレートが沈み込むような海域は深く鋭い溝ができやすくなります。

Q.山など高いところに登ると耳が痛くなりますが、深海はどうですか?
A.「しんかい6500」は頑丈なコックピットに守れらているので体には全く影響がありません。窓の外を見なければ、深海に向かっていることすら忘れますよ。

Q.人が潜水船に入らずに深海に行くとどうなりますか。
A.一般の人だと、深さ50mも潜れません。深海は200mより深いところを指しますから、潜水船がないと深海には行けないことになります。

Q.先生はなぜ海や深海にに興味を持ったのですか? また、深海のどんなところが好きですか?

A.もともと生物全般に興味がありました。海洋生物に焦点をあてたのは大学時代に海洋に触れる機会が多くなったからです。大学では沿岸環境生態学という研究室に入っていました。深海に興味を持ったきっかけは、小学校低学年の頃に、科学雑誌(たしかNewton)で「しんかい6500」を見たことです。深海はまだ誰も行ったことがない場所がほとんどだというところが冒険心を掻き立てられます。また、深海に生きる生物が見たことない変な生き物ばかりなところが楽しいです。深海にいるとあっというまに時間が過ぎていきます。

Q.今までで、一番おもしろいと思った魚は何ですか?
A.サケガシラ(リュウグウノツカイの近縁種)。なぜかずっと逆さまを向いている。

Q.深海で一番好きな生物は何ですか?
A.ユメナマコです。最初見たときびっくりしすぎました。映像や画像でみるとなんだか気持ち悪いが、深海で見ると非常に神秘的です。
また、まだ見たことありませんが、リュウグウウノツカイと、シーラカンスもすきです。サメ類やエイ類も泳ぎ方が好きです。最近話題のデメニギスも興味があります。

Q.深海にいる生き物の中で、苦手な生き物は何ですか?
A.苦手だなと思う生き物は特にいません。気持ち悪い生物はたくさんいますが、見ていると不思議と愛着がわいてきます。

Q.先生がいちばん怖いと思う魚は何ですか。
A.外国の潜水船で、カジキマグロが潜水船に突き刺さったことがあるらしいです。潜水船に影響を与える可能性がある大型生物は恐いですね。

Q.先生は深海で何種類ぐらいの生物を見たことがありますか?
A.ちょっと数え切れないので分かりません。小さい生物もいれると数百種類じゃきかないと思います。

Q.まだ名のついていない深海魚を見つけたらどのような名前にしたいですか?
A.外国の人でもわかるように「SHINKAI」(シンカイ)という文字をどこかに入れたいですね。

Q.琢磨先生は、深海に何回潜ったことがありますか?
A.2018年7月現在で86回です

Q.一年間で何回潜りますか?
A.その年にもよりますが、「しんかい6500」は40潜航程度です。

Q.先生が深海で困ったことはありますか。
A.研究者が採取したい岩石があるのに、硬くてなかなかマニピュレータで取れない時は困ります。懲りずに挑戦するか、時間も考えて次に進むか。

Q.初めて「しんかい6500」に乗ったときはどう思いましたか?
A.発光生物の美しさに感動しました。カメラでは映らないので実際見ることができて興奮しました。

Q.先生が、潜水船に乗るまでに、苦労したことは何ですか?
A.しんかい6500のシステムを覚える事。特に様々な図面を頭に入れること。

Q.どうして「しんかい6500」のパイロットになりたいと思ったんですか。
A.大学では、船の勉強と、海洋生物に関する勉強をしていました。しんかいのパイロットという職業は日本国内ではここでしかできませんから、とても魅力的でした。

Q.パイロットの魅力ややりがいはなんですか?
A.いつも、この仕事をしていて良かったなと思っています。未知の世界に行くことができる乗り物に乗って、研究者と新発見が出来る。こんなに魅力的なことはそうそうないと感じています。また、行くときは緊張で不安顔だった研究者が、オペレーションが終わるととても充実感に満ちたいい顔をしていて、また「しんかい6500」に乗りたいと言ってくれる。楽しさももちろんありますし、やりがいも非常に感じています。

Q.サンプリングで一番難しかった生物はなんですか?目が悪くてもパイロットになれますか?
A.魚類といった動き回る生物は難しいです。目が悪くてもパイロットにはなれます。のぞき窓を傷つけてしまうので、メガネは遠慮してもらってますが、コンタクトレンズをつけて潜航するパイロットはいます。

Q.訓練でいちばん大変だったことは何ですか。
A.マニピュレータの操作よりも、「しんかい6500」の操縦の方が難しいです。場所と、潮流の影響と、観察や作業のしやすさなど色々な条件を考えないと良い結果につながらないので。

Q.研究の(深海に潜っているときの)の服はとても分厚いですが、メンテナンスの時の服との違いは何ですか?
A.潜航で着る「潜航服」は燃えない素材でできていて、生地も厚いです。メンテナンスの時は、動きやすい方がいいので、一般的な作業着やポロシャツを着て作業しています。

Q.楽しい事、辛い事、二つの割合は1:1なのでしょうか?
A.パイロットによってそれぞれだと思いますが、私の場合は9対1(楽しい事9、辛い事1)です。

Q.宇宙と深海に何か同じことはありますか? かがみの石はとれるのですか?
A.宇宙と深海はとても似ていると思います。エンケラドスという土星の衛星には、深海と同じ熱水噴出孔のようなものが確認されており、化学合成生物が存在しているかもしれません。研究者から採取の要望があれば、かがみの石はとれますよ。

Q.深海生物は、なぜ、深海と陸で色が違うものが多いのですか? 名前の知らない深海生物はいますか?
A.太陽光と、「しんかい6500」のライトとの違いです。名前を知っている深海生物はごくわずかで、名前の知らない深海生物がほとんどです。

Q.先生は、深海で一番何を採取したいですか?
A.研究者がオーダーするものを何でも簡単にとれるようなパイロットになりたいです。

Q.もし、アトランティスが見つかったら、その場所に行きたいですか?
A.もちろん、是非行ってみたいですね。第一発見者になりたいです。

Q.未来は、世界記録をこえて何メートルまで潜りたいですか?
A.世界最深部の10911mに行きたいですね。

Q.深海探査とは、先生にとってどんなものですか。?
A.見るもの全てが新発見!

大西先生、ありがとうございました!!