6月20日(土)に「子ども大学水戸」第7期の「入学式+第1回講義」を実施しました。

今期は新型コロナの影響で、一堂に会しての学びを行うことが困難な為、全ての講義をオンラインにて実施することになったことで、北は北海道、福島、関東全域、静岡、愛知、三重、大阪、兵庫、岡山、広島、そして海外はタイからの入学者を迎え入れることができました。今期は144名の学生とその保護者の方々と一緒に、1年間の学びを深めていきます。(120名の定員よりは多いですが、サーバー負荷を考え、第6期よりは少なめの入学者としました。)

入学式では、本学の学長である、お茶の水女子大学名誉教授・内田伸子学長より、VTR出演で祝辞を述べてもらい、子ども大学水戸の意義や学ぶ重要性、親子で新しい学びを学んでほしいというメッセージを発信しました。(内田学長は、YouTubeライブ配信で入学式と講義に参加しておりました)

その後、本学の設立者である岡本弘毅理事長より、子ども大学の理念や子ども大学水戸の設立話、学生たちを支援していただいている沢山の企業・団体・個人の方々の紹介など、多岐にわたる内容を伝え、新たな学びを楽しんでほしいことを発信しました。そして、その間には、YouTubeのチャットを使ったデジタル会話も実施し、オンライン講義による楽しみ方を体感しながら、入学式を終えることができました。

完全オンラインの記念すべき第1回講義は、国立環境研究所の江守正多先生による「気候危機とコロナ危機~ダブル危機の中をどう生きるか!~」です。江守先生は地球温暖化の研究家であり、新旧メディアに多数ご登壇していらっしゃる先生です。キックオフテーマは、「地球温暖化」についてで、それは本当なのか?という問いからスタート!様々なデータを見せて頂きながら、地球温暖化の現状を学びます。

世界平均気温はここ10年で、だんだんと気温上昇をしており、人の住んでいる周辺だけで温度上昇しているのであればヒートアイランド現象となりますが、陸地や海など地球全体で温度上昇が確認されているので、地球全体が温暖化していることを理解しました。

その原因は、人間が経済活動を行う上で排出する、様々な種類の温室効果ガスであるのですが、この温室効果ガスがないと地球の気温が下がってしまい、温暖化ではなく寒冷化となってしまいます。ちょうどよい程度が良いのですが、現在はそのバランスが崩れてしまい、温室効果ガスが多くなっていることによる温暖化のようです。このまま対策をしないと、どのような世界になってしまうのかを、シミュレーターを使って説明を受けましたが驚愕の結果にチャットも騒然です!

写真の左が「対策なし」の場合で、写真の右が「対策を講じた場合(2℃未満)」ですが、左は真っ赤となっており、対策をしない場合世界全体で4℃ほど上昇をしてしまいます。2050年まではそれほど大差はなかったのですが、それ以降は大きな差になって現れますので、対策を行うことは非常に重要であることが分かります。

講義の途中からは、コロナの話題に移りました。一通りコロナの対策の話をした後、今回のコロナウイルスによって経済活動が世界中で停滞しましたが、それによってどれくらい温暖化に影響を与えたのかの質問がありました。

経済活動が止まったことと比例してCO2の排出量も減少し、地域によっては「-40%」にもなったようです。この大きな原因は、工場などからの排出よりも、車を使った通行量が激減した為のようですが、それでもコロナによるCO2排出量は年間7.8%しか減少しないというデータが出たそうです。つまり、大気中のCO2濃度に大きな影響はなく、地球温暖化は進んでいくようです・・・。

温暖化によって起こることは「海面上昇」「強い台風」「洪水」「熱波」「食料・水不足」「生態系の損失」「感染症」「森林火災」などがあり、その影響は特に発展途上国の人々や未来を生きていく人々に多大な影響が出てしまうわけです。

それらのことを考え、2015年のパリ協定で「平均気温上昇を産業革命以前と比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求しよう!」という決め事をしましたが、残念ながらその約束は守られていない状況です。日本だけを見ると、石油の使用は減少し、再生可能エネルギーを使った発電が増えてはいますが、さらなる増加が必要であり、また日本だけでは解決できる問題ではないので、開発途上国への支援も同時にしていかなければならないということを学びました。

最後に江守先生からは、環境に対する取り組みで私たちにできることとして・・・、

①関心を持つこと
②世界で何が起きているかを知ること
③周りの人と話すこと
④発信すること

を挙げ、今後さらに大転換が起きていく社会において、自らも取り組んだり、取り組んでいる人たちを応援したりすることが必要だとメッセージを送ってくれました。一人ひとりの力は小さいですが、それを広めていくことが大切なことを学んだと思います。江守先生、ありがとうございました。

次回は7月11日(土)、第2回講義は、ソニー株式会社の平井基介先生による「蛾の目の仕組みがディスプレイに?~エンジニアリングと世の中のつながり~」です。お楽しみに♪