11月14日に開催された「第4回講義」は、東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター・助教の田中香津生先生による「左右がひっくり返った鏡の中では宇宙はどうなる?~対称性と宇宙創成の謎~」でした。(今回も、配信会場で現地参加していただける親子を、抽選で4組10名招待をしました。)

講義前は、第1期より毎回実施している「HR(ホームルーム)」からスタートです!
HRでは日ごろから社会で起きている事柄を、自然に収集することを目的としていますが、ニュースを見る学生も増えてきていて、嬉しく思います。このHRも子ども大学水戸の学びの一環ですから、是非リアルタイムのHR受講もしてくださいね。

そして一番大きな報告として、今回から「バーチャル現地受講」としてZoomを用いた質疑応答を行うことを説明しました。講義はYouTubeを使い、質問はZoomを使用するシステムアップデートです。YouTubeの文章質問とは異なり、実際に先生とやりとりをしながらの質問を行うことで、リアル講義に少しでも近づけるようにしました。できるだけ臨場感を持ってもらえる取り組みに成長させていきますので、ご期待ください!

講義ですが、田中先生の研究の紹介から開始です!
田中先生は小学1年生の時に、宇宙についての本を読んで「ビッグバン」を知ったそうです。しかし、その宇宙が1つの非常に高密度の「点」から誕生したことに納得できず、疑問を抱きました。それをきっかけに「世界を創った高次の支配者(宇宙人)がいるのではないか?」と考え始めたそうです。すごい発想です!

田中先生は、冗談を挟みつつ、難解な内容を分かり易く「シミュレーション仮説」を解説してくれましたが、シミュレーション仮説を考え始めると、全てが支配者に支配されているように思われます。そこで、その対策として、普遍的な法則・因果的決定論をきめ、それらを元に世界の事象について考えることを「物理学」と定義しているようです。

そして、話は宇宙の誕生へとシフトしていきます。「ビッグバン仮説」において、宇宙は粒子という1つの点から始まり、粒子は必ず「反粒子」という物質とペアで生成されます。「反粒子」とは粒子と質量・性質は全く同じで、電荷のみが異なる物質です。が、世界に「反粒子」は存在していません。「え?どういうこと?」と思う方もいるかと思いますが、それが事実なのです。反粒子は存在しないため、実際に作るのは大変だと言いますが、田中先生が、スイスにある世界最大の加速器「CERN(セルン)」にいらっしゃった時に反粒子を作ることに成功しました。その時の面白エピソードとして、記念写真で田中先生の顔がブレてしまい、その写真を繰り返し使われて恥ずかしかったというお話をされると会場では笑いが起きておりました。

さて、そこから話は「粒子・反粒子のように電荷(+と-)が変わると今の世界も変わってしまうのか?」という内容に移りました。果たして答えはどうなのでしょう?

その答えは「変わる」です。

ただ、電荷が変わるだけでも世界はガラリと変わってしまうそうです。さらに身近な例として、「左右が反対になった世界は変わるでしょうか?」という質問も、先生の夕食の2枚の写真(オリジナルと反転版)ともに提示されました。生徒たちは休憩時間中にどっちが本物の先生の夕食なのかを考え、YouTubeではコメント欄が、現地でも様々な証拠とともに生徒たちの議論が繰り広げられました。最終的には結局5分5分に分かれて、会場でも笑いが起こっておりました。

世界に関しても同じように「左右が反対になる」ことで様々なことが変わるようです。実際に左右が完全に入れ替わった実験室で素粒子や自然法則を変えた際には物理法則が異なっていたそうです。こちらも身近にもある左右に違いのある物から実験で得られた結果までわかりやすく説明していただきました。

前半のビッグバンお話から先生の興味を追求することによって、田中先生の今の道に辿り着いたという体験談をお話してくださいました。また、現在も先生と同じ考えを持つ中・高生がいるかもしれないということで、体験会を開催しているそうです。事実、最近の学生には中・高生の時からいろいろな事象に興味を持ち、研究を始めている学生が多くなっていると言います。

先生からのアドバイスは「興味を持ったことについて自分で動き、どんどん研究してみることが大事」ということでした。学生の皆さんにもぜひ、身近な事象にどんどん興味を持ってその研究を始めるような意識を持って欲しいですね!

質疑応答の時間では、学生にZoomでバーチャル現地受講として参加してもらい、田中先生と直接会話をしながら解説をしてもらう機会ができてよかったです。今回は参加者が少なかったので、次回からは皆さんの参加をお待ちしております!

田中先生、ありがとうございました。
次回の講義は2021年2月6日となります。株式会社Office Hit 代表取締役 とびの親方であり現役の鳶職人 多胡弘明先生による「上空数百メートルを駆け抜ける職人の秘密 ~サグラダファミリア・東京スカイツリーからみた世界~」です。2021年一発目の講義となりますのでお楽しみに♪

学生の皆さんは、ぜひ冬休みの間に、アーカイブを使い、今までの講義を振り返ってみてくださいね。1か月以上早いですが、良いお年を♪