2月6日に開催された「第5回講義」は、株式会社 Official Hit 代表取締役・とびの親方であり現役の鳶職人である多湖弘明先生による、「上空数百メートルを駆け抜ける職人の秘密 ~サグラダファミリア・東京スカイツリーから見た世界~」でした。

講義の前には、いつも通り「HR(ホームルーム)」から開始!担当は根本君です。
HRでは日ごろから社会で起きている事柄を、自然に収集することを目的としていますが、ニュースを見る学生も増えてきていて、嬉しく思います。このHRも子ども大学水戸の学びの一環ですから、是非リアルタイムのHR受講もしてください。

講義は、多湖先生の自己紹介からスタートしました。
多湖先生は、鳶職人として20年以上のキャリアを持っており、自分の仕事を人に伝えるために鳶職人のホームページをつくったり、このような講義でお話をするなど幅広く活動をされています。鳶職人の仕事は、高層建築を建てるために必要不可欠なクレーンや建物の柱を組み立てたり、工事現場に必要不可欠な足場の組み立てを行う職業で、材料をつなぎ止めるボルトも機械ではなく人の手で固く締めることも鳶職の重要な仕事であることを学びました。そして、鳶職に重要な能力として、行動する人の動きを予測して組み立ててることが、鳶職として必要不可欠な能力であるとのこと。これはどの職業でも、学生の学習でも必要な能力ですね!

講義では、実際に先生が携わった現場の大きなクレーンや鉄骨の組み立て方の写真や動画も例に出して説明をしてくれましたので、あっという間に講義に集中していきました。一番学生たちが食いついていたのが、多湖先生がスカイツリーの建設にも関わっており、建設に行き着くまでのプロセスの体験話でした!

スカイツリーの計画があるらしい!という話を聞いたときに、スカイツリー建設に携わるという夢を実現するため、大阪から東京に活動の場所を変え、日本一の鳶職の会社を探すことで、建設に携わる夢を実現したそうです。自分でやりたいことをやるために、情報を集めて、その上でどうすれば実現できるかを考え、行動に移すことで夢を叶えていった話を聞いた学生からは、「鳶職人になるにはどうすればいいですか。」「高いところにいて怖くないのですか。」といった質問が多く寄せられました。リアルな会場と同じようにインタラクティブな講義になっていました。

後半戦は、待望の「海外編」。海外での活動話に入っていきました。
多湖先生は、友人にもらった旅行写真がきっかけでスペインに行くことを決めます。当時は建築の写真に対して、「すごいなぁー、行きたいなぁー」くらいだったようですが、すごい行動力ですね!

実際にスペインに行った後は、「サグラダファミリアの中に入りたい!」の一心で柵を飛び越え中に入り、そこで出会った棟梁に直談判をし、ガウディーのサグラダファミリアの建設に携わることができたそうです。その時の写真を見せて頂きながら、世界遺産の一部の内容に大興奮。(サグラダファミリアの建築リーダーである外尾悦郎さんの若かりし頃の写真も素晴らしかったです!)熱意と行動力によって、道が開けていくという素晴らしい実例だと思いました!この経験から、”やりたいことを、やり続けること”を、とても大事にするべきだとメッセージを送ってくれました。

そして、後半戦で学生と保護者に一番盛り上がった内容は、「自分の知っている世界は全体のほんの一部であり、そのほとんどは知らないことにすら気づいていなかった世界である」というワードだったと思います。多くのことを経験することで、自分について知らなかったことを知り、そこから自分のやりたいこと、それができるかどうかがわかるようになるということを、熱くお話してくださいました。

講義の結びとして、失敗を恐れずに”選ぶ”ことをしていくことが人生で重要なことであり、自分の意志で諦めずにやり続けることで、今まで見えなかったもの、感じることのできなかったものを得ることができる!という言葉です。多湖先生の力の源泉は、自分の信じるもの、大切なものは自分で選択して切り開くことで、周りのせいにするのではなく、自分で選んだものだからと、自分の意志を大切にすること。そしてそれを自覚することが最も重要なことであるとを話した瞬間、現地受講の保護者の方が、何度もうなずいていたのが印象的でした。誰かに変えてもらうのを待つのではなく、自分で変えていくことが大切ですね!

最後には、Zoomを使った質疑応答を実施し、その中で出た質問をいくつかご紹介します。

★1・高すぎるところにいると逆に地上が怖くなるのではないですか?
★2・何故ダボダボのズボンを履いているのですか?
★3・鳶職になって良かったことは何ですか?

などなど、他にも多くの質問に答えていただきました。
これからの人生を生きる上でとても大切なマインドセットを教えていただきました。多湖先生、本当にありがとうございました。

次回の講義は、3月13日(土)に実施します。
講義内容は、JAXA名誉教授・子ども大学水戸顧問の的川泰宣先生による「宇宙開発の舞台裏~日本の宇宙科学技術【はやぶさ】ともう一つの【はさぶさ2】」です。修了式も行いますので、全員参加をしてくださいね!