3月13日は、第7期の最終講義でした。
第6期の最終講義から始まった、「オンライン」と「リアル」のハイブリッド型の学びですが、今期は全てハイブリッド形式での実施です。リアルの一体感はなかなか再現するのは難しいですが、最後には大半の学生とそのご家庭が慣れてくれたと思います。しばらくの間は、このような形で実施をしていく予定です。

さて、最終講義の最初も、いつも通りホームルームから開始!今回の担当は、大津君です。第1期からずっと続いている、社会と繋がっていることを常に意識をしてもらうことで、日常から情報収集を行う為の取り組みです。

第7期の最後のニュースは、震災から10年の区切り、ノートルダム大聖堂の修復、そして宇宙のことでした。今後も、第8期が始まるまでの間、しっかりと情報を収集する癖をつけて欲しいと考えております。

ホームルームの後は、いよいよ第6回講義です!
月探査情報ステーション編集長であり、元はやぶさプロジェクトメンバーの寺薗淳也先生をお招きし「はやぶさからはやぶさ2へ~過去・現在そして未来~」というテーマで講義を実施しました。(緊急事態宣言延長の為、的川先生から変更となりました。)

寺薗先生の自己紹介から始まり、早速、はやぶさの講義に!
皆さんご存じの通り、はやぶさは「日本初」の小惑星探査機であり、日本で初めて小惑星イトカワでのサンプル回収に成功しました。実は、はやぶさの構想が練られたのは1980年代だそうです。

実際に、イトカワへ打ち上げられたのは2003年5月9日13時29分で、イトカワに2005年9月に到着し、同年11月にサンプル採取を行いました。その後、はやぶさはイトカワを後にし、2010年6月13日地球に帰還し、サンプルをオーストラリアのウーメラ砂漠に落下させました。残念ながら、はやぶさの本体は流れ星のように燃え尽き、役目を終えたそうです。はかないですね~。

講義の中で寺薗先生は、はやぶさについて学生がわかりやすいように映像や写真を用いて説明してくれました。それらは「はやぶさの成長記録」のように、ロケット発射の瞬間、イトカワのサンプル回収方法から地球への帰還までを描いたものでした。日本の技術の凄さと発展していく大切さを理解できたと思います!

その「日本初」の小惑星探査機として役目を成し遂げたはやぶさですが、その成功の裏側には数々のトラブルがあったそうです。

その例として先生は、3つのトラブルを紹介してくださいました。1つ目は、1回と予定されていた本番のタッチダウンに失敗し2回行ったこと。2つ目は、その影響で46日間通信が途絶えてしまったこと。通信が途切れた際には、一度諦めそうになったそうですが、はやぶさを信じ通信をし続けたそうです。そして3つ目は、エンジンが壊れてしまい地球への帰還ができないかもしれないと心配されたこと。先生をはじめ、はやぶさプロジェクトに携わった方々は、はやぶさをただの探査機でなく、まるで我が子のように大切にしていたようですが、愛情をこめてみんなでプロジェクトを進めたからこそ、そのような気持ちになることが伝わりました!

そして後半講義では、はやぶさ2のお話に入っていきます。
後半戦の最初は、「初代はやぶさ」と「はやぶさ2」との違いについてからです。初代はやぶさの失敗を活かし、はやぶさ2は、様々な点で進化を遂げていました。アンテナやロボット、カメラ、姿勢を安定させるリアクションホイールの個数を増やし、重さが510kgから600kgへ増加しました。はやぶさ2では(初代)はやぶさの失敗を生かし、アンテナの増加を行うなど、様々な改良がされ、それが功を奏し、はやぶさ2は無事帰還するまでの任務を成功させたようです。

この話に絡めて、「小惑星から地球に写真を送るときはやぶさ2はどのくらいで届けることができるでしょうか?」という問題を3択で出題。チャット機能を使って学生たちと対話をしながら話を進めました。オンラインならではです!ちなみに、答えは「20分」!

ピンと来てない現地参加の学生もいましたが、先生が「現代の携帯電話の1/10000のスピード」というわかりやすい例を出してくださり、現地の学生もどれほどすごい事なのかに気づき驚いていました。ほかにも、初代はやぶさは『私たちの起源を知りたい』という目的を元に飛ばされたことや、はやぶさ2では、初代はやぶさの目的にプラスして『より確実に小惑星に向かう』と言うことや『将来に繋げる』と言うことが加わったことなどをインプット!

他にも、はやぶさ2では、リアクションホイールの台数を増やしたこともあり、1回目のタッチダウンは無事成功し、さらにカメラの台数も増えたことでタッチダウンの様子もはっきりと記録できたことや、はやぶさ2は小惑星の表面に玉をぶつけてクレーターを作り、サンプルを採取する爆破探査も成功し、なんと5.4gものサンプルを採取する事ができたことを学ぶことができました。

ちなみに、採取した「5.4g」を少なく感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、こんなに多くのサンプルを採取できたのは世界初の快挙!このサンプルは、日本でキュレーション(整理、保管、分析)される予定で成分や形を調べる事でリュウグウのできた過程を知ることができるそうです。その結果からは、はやぶさの目的でもある小惑星誕生の過程を知る事ができる予定で今後も目が離せません。そして更にすごいことは、サンプルを無事地球に届けたはやぶさ2は再び宇宙に出発したことです。今も、宇宙で別の小惑星を目指して頑張っています。頑張れ、はやぶさ2!目指せ、未知の小惑星!

講義の最後は、寺薗先生が大切にしているメッセージとして、「挑戦し続ける事」「失敗を恐れずにあきらめない事」が大切だとおっしゃっていました。ただ、闇雲に挑戦し続けるだけでなく、失敗しないように徹底的に考えてから挑戦することがポイントだといいます。私たちが宇宙旅行に行ったり、宇宙飛行士が月から生中継をすることも実現しうることであると、心が躍るような未来を見せてくれたと思います!

寺薗先生の「宇宙」や「はやぶさ」への愛に満ち溢れた温かいお話は、神秘的で希望に満ちたお話でした。寺薗先生、大変面白く、貴重なお話をありがとうございました。