7月10日に開催された、「第2回講義」は、一般財団法人 リモート・センシング技術センターの遠藤貴宏先生による「人工衛星で〇〇をはかる~地球上のどこで何が起こっているのか知りたいよね~」でした。身近な存在である「人工衛星」ですが、どのような仕組みで、どのように活用されているかを学びます!

講義の前半では、人工衛星とは何か?についてから学びがスタート!
人工衛星は、およそ500km以上のはるか上空に浮かぶ、”地球をはかる”技術であり、数も、種類も多く存在しています。当然ですが、人工衛星は宇宙空間で働いており、地球からの距離は、500km~40,000kmとかなりの範囲で動いています。現在、民間の人工衛星は約3,500機以上稼働しているようですが、その数は2010年以降急激に増加しているそうです。これだけの数があると、人工衛星同士の衝突が起こりそうですが、接近するとガスを噴射して進路をずらして互いに衝突しないようにしているようです。すごいですね~。

人工衛星には通信用や地球観測用など様々な機種があり、その中でさらに細かく区分されます。例えば、地球観測衛星には、水や大地や大気といった環境について観測をする、地球全体をマクロに観測するものと、地域観測などのより小さい単位で観測するものが存在したり、米国・SPACEX社が展開するプロジェクトとして、1万を超える衛星を打ち上げ、それらを連結させることで、世界中のインターネットを接続させようという「STAR LINK」があるそうです。(STAR LINKは、今までのような大型の衛星ではなく、小型の衛星をたくさん飛ばすという科学技術の発達が裏にあり、結果として費用削減に成功しているとのこと!)

日本の技術は凄そうに見えますが、先生のお話によると、日本はまだまだ衛星開発の技術がアメリカなどの他国と比べて発達していないそうで、実際に、長寿の衛星開発はアメリカに大部分を担ってもらっているようです。今後、この分野の技術を、本日の受講者がアップデートできるようになったら良いですね!

そして話は、センシングについて移っていきました。
衛星のように、離れた物体などの形質を観測することを”リモートセンシング”と言い、中でも衛星によるものを”衛星リモートセンシング”と言うそうです。この衛星リモートセンシングには、私たち人間には見ることのできない電磁波が使われており、この電磁波は雲などの地上までの間にある物体を通り抜けることができるため、観測に使用されているとのこと。

また、人工衛星には色々な「目」があります。この目は、人間の見える範囲である可視光の範囲外でも見ることができます。これは異なる多くの波長の反射や放射を見ることが出来るためです。波長の長さによって見え方が変わり、異なる見え方を組み合わせて見ることで私たちが気づかなかった現象が見えるようになります。これを利用して植物観察者は、人間には見えない植物の状態を観察しているそうです。

後半講義では、人工衛星によってどのような現象を捉えることができるかのテーマに変化しました。
人工衛星を用いたリモートセンシングでは、地表面がどうなっているのか、どのような変化があったのかを知ることができます。今、この瞬間どうなっているのかだけでなく、過去からどのような変化があったのか時間的変化を調べることが出来るわけです。

具体例として、氷河の減少が挙げられます。氷が減っている地帯を目で追って確認出来るため、氷河減少の原因を考えることに役立ちます。ここで生徒がすぐに「地球温暖化のせいだ」と言っていましたが、遠藤先生は結果、現象を整理してから原因を考えることが大切であるとのこと。目で見た現実が何かというのを考えてから「では、その理由はなんだろう」と考えることが重要だそうです。短絡的に決めつけるのではなく、根拠を考える大切さを教えてくれました。

他にも人工衛星では、湖の水量の減少や、沿岸開発、河川の蛇行の原因を、時系列で見ていくことで分かるため、様々な場面を見ながら、その原因をみんなで考えてみました。南米での森林伐採は、畑の拡大のための農地開発による影響、違法採掘による影響、牧畜のためのフィッシュボーンによる3つの影響が挙げられました。

講義終了後は、質疑応答の時間へ!
毎回、ものすごい数の質問が出ており、時間内にすべての学生の質問が出来ずに申し訳ないのですが、時間の許す限りZoomにて双方向型の会話ができるようにしております。今回も、とても良い質問が多数出ていました。自分から声を発する力は、今後ますます必要になりますので、次回も質問をしてほしいですね。

最後に遠藤先生は「何故と思ったらすぐに調べる癖をつけて欲しい。元のデータでさえ本当に正しいのか?と確かめるくせをつけて欲しい。これから活躍するためにプログラミングをやって欲しい」とおっしゃっていました。学生たちには、様々な問題に対する課題意識を持って、それに対するデータが正しいか否かの判断ができるようになってほしいです。遠藤先生、ありがとうございました!

★現地受講者・恒例の集合写真★

次回の講義は、「夏の特別講座」です!
8月21日(土)に行います。キッズマネー・ステーション 柴田 千青先生 ・ 横山 先生による、「オカネってなんなんだ?~自分と社会のために知っておきたいお金の心得~」です。

講義の際は「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)をぜひご用意ください!

10歳から知っておきたいお金の心得