こんにちは、子ども大学水戸事務局です。 7月16日(土)に、茨城高等学校・中学校の大ホールにて「第2回講義」を実施しました。

今回の講義は、「高エネルギー加速器研究機構(KEK)」藤本順平先生による「宇宙のはじまり、ビッグバンと加速器」です。 第2期の特別課外でつくば市の施設見学をしたので、素粒子の学習をしていた学生は特に楽しみだったと思います。

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学生だけではなく、保護者の方々も講義をたのしみにしてくれており、今回もたくさんの参加をいただきました。親子で学ぶことができる「子ども大学水戸」の特徴です!

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講義テーマは非常に難しいテーマですが、小中学生にもわかるように「粒子」についての学習を分かりやすく説明してくれました。様々な数学者・物理学者の考えや理論を、実例を交えて解説をしながら、目に見えない粒子の話に移っていきます。

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前半の講義が終わり休憩に入りますが、学生たちは先生に質問ラッシュ。素粒子の話やビッグバンの話、宇宙の話など、藤本先生に休む暇を与えないほど疑問をぶつけていた姿が印象的でした。

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休憩の後は、「霧箱」を使った実験を行うことで、見えない粒子の姿を目で見ることにチャレンジ!
ドライアイスを大量に使用するため、実行委員や高校生ボランティアが、25Kgのドライアイスを粉状になるまで砕き、霧箱のトレイに入れました。(お疲れ様でした!)

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「霧箱」はノーベル賞を3つも受賞した装置で、放射線を可視化することができます。
ランタンなどの燃料に使用するマントルがしみ込んだ糸をカップに入れた上で、カップ内の上部にエタノールを浸透させ、カップ外側の下にドライアイスを置くことでカップの温度を下げ、マントルから粒子が飛び交う様子を見ることが出来ました。

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飛行機雲と同じように一本の道筋がはっきりと見えるたびに「おー」「見えた」とホール内に声が響いていました。

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カップを温めることで、上部と下部との温度差を作りだし、霧箱に懐中電灯を当てると飛行機雲と同じように粒子が動く姿を見ることが出来ました。見やすいように照明を落とした大ホール内では、懐中電灯の光が幻想的な風景となりました!

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飛行機が通った後の飛行機雲の様に、粒子が通ったあとがくっきり見ることが出来たようです。今回の実験は保護者の方々にも霧箱を配布できたので、たくさんの保護者も実験に参加が出来ました。粒子が見えるたびに学生と同じく「おー」「見えた」という声が響き、童心に戻れたのではないでしょうか?

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講義が終わると、恒例の質問タイムです。「宇宙は膨張していますか?」「宇宙は無限に広がっているのでしょうか?」などたくさんの疑問を藤本先生へぶつけていましたが、先生にもまだ分からないことが多く「それらを貴方たちが見つけてほしい」と学生たちに回答していました。

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最後に藤本先生から、ILC(国際リニアコライダー)計画の話がでました。日本国内に全長約30Kmの直線状の加速器をつくり、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の衝突実験施設の計画についてです。
「今後の加速器研究を考えてみると非常に重要だが、長い期間の建設があり、私はILCの実験に参加できない。だからこそここにいる人間がこの実験に参加して様々な研究を進めてほしい」というメッセージを送ってくれました。新しいものへのチャレンジは非常に重要であり、逃げないで取り組みを続けることは大切だと改めて学ぶことが出来ました。

第3回講義は、常磐大学にて実施します。筑波大学の渡辺先生による「藻」を学びます。お楽しみに!